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第2回株式会社JTB情報システム 様

オンプレミスからクラウドへの転換でコストを削減 スマートフォンによる着地型ビジネスの実現に期待 

株式会社JTB情報システム 様

今井  まず、御社は旅行業界を代表される企業ですが、同業界におけるITの位置付けからお聞かせ下さい。

野々垣 ご存知の通り、旅行業は旅行という無形物を提供するサービス業であり、さまざまな情報を提供しながら宿泊や交通手段をセットにして販売しています。このため、商品企画や販売手法が旅行会社にとっての経営の軸となりますから、これらの業務を担う「人材」の力が重要です。そして、旅行ビジネスに欠かせない経営資源が「ITシステム」ですね。

今井  旅行業は、人材とシステムで成り立っていると。

野々垣 ええ。システムの重要性は人材に匹敵します。例えば、客室在庫としてお客様に提供する宿泊施設や航空座席、鉄道座席などの確保や、お勧めの旅館や観光地といった現地情報など、業務に関わる多くがデジタル化されています。これらをどう活用するかは明らかにシステムの話です。なので、どこの旅行会社にとっても、人材とシステムの重要度はかなり高いと思います。

今井  それだけシステムを重視されていたとなると、IT導入もかなり早い時期だと推察しますが。

野々垣 JTBグループでは、1960年代の後半頃からシステム化に取り組んできました。最初はメインフレーム(基幹 業務システム向け汎用大型コンピュータ)をベースに宿泊施設との清算関連の仕組みを構築し、以降はオンライン予約システムなど継続的に大きな投資を行ってきました。

今井  ビジネスの根幹であるだけに、コストをかけてきたということですね。

野々垣 しかし、この10年間を振り返ってみると、2001年米国同時多発テロにはじまり、2003年のSARS(重症急性呼吸器症候群)や2008年のリーマン・ショック、さらに2009年には世界規模で新型インフルエンザが流行するなど、旅行業界を脅かす外部環境の変化が頻発しています。これらは特別なことではなく、日常的に起こり得ると考えるようになりました。そうした中では、企業体力を強化するためにもコストの見直しが避けられません。固定費を減らして変動費化することが、不可欠な経営課題となってきたわけです。

今井  システム投資も例外ではないと。

野々垣 JTBのシステム投資は、全経費の約10%を占めていました。これを削減することとなり、システムの見直しに着手したわけです。時を同じくして、10年先を見据えた長期IT戦略の策定中でした。その中、これまでオンプレミスを当然として考えてきたシステムが、クラウドコンピューティングで外部に出せると。そこで、自社で開発と運用を手がけるシステムと、アウトソーシングできるシステムに色分けしました。社内的には前者をコアシステム、後者をノンコアシステムと呼んでいます。

今井  なるほど。ノンコアシステムを外部へ出そうというわけですね。

野々垣 はい。ノンコアシステムとは何かを考えた時に、JTBにとってはメールシステムが一例であり、クラウド化の一環として Google Apps™ の Gmail™ にメール運用を移行させました。

クラウドの本質を理解すれば、メリットを最大限に生かせる

株式会社JTB情報システム 取締役 野々垣 典男 様

今井  ビジネスに利用するということで、不安はありませんでしたか。当社では、それこそメール遅延や消失は許されないといった雰囲気ですが。

野々垣 そこは企業ごとの文化の差だと思います。JTBの考え方は、「メールは無くては困るが、多少ダウンしても我慢しよう」的な文化であり、経営層も理解してくれています。そもそもオンプレミスとクラウドの違いを正しく理解していれば、特に問題はないと思います。例えば、バグが発生した場合、何万台というサーバーを運用しているクラウドではすべてに適用されるのに時間はかかりますが、待てば直ります。解決までに時間を要したとしても、メールのシステム自体が止まるわけではありません。

今井  オンプレミスでは、そうはいかない。

野々垣 ええ。何か問題が発生すると、システムを止めた上で障害解決に取り組まねばならないので、その間は使えません。「クラウドは改修に時間はかかっても、システムは止まらない」と、理解さえしておけば不満は何もないです。

今井  逆に、それがクラウドの魅力だともいえそうですね。

野々垣 ええ。他にも、データが消えないことが挙げられます。 Google™ は同じデータを3カ所に保存し、同期を取る仕組みで運用しています。どこかのデータセンターが壊れても、別拠点でバックアップされているというわけです。

今井  そうしたメリットを経営層も社員も理解すれば、クラウドの本質的なよさが出てくると。

野々垣 そうですね。最初に Google™ の本格導入を始めたのはJTB本社ですが、会長や役員陣は「慣れると使い勝手はいいね」と感想を語っていたそうです。同一メールに関して送信や返信などのスレッドが集約されたり、検索機能や25GBの大容量などは凄く期待していたところです。

今井  使い勝手の点で期待が大きかったとのことですが、既存の仕組みから Google™ へ移行するに際して、1万2000人を超える社員の反応はいかがでしたか。

野々垣 実は、全社導入の検討には時間をかけました。システムの中でもメールは特にコストがかかっていたので、システム投資の見直しに取り組む以前から運用コストを削減したいと考えていました。2007年春頃、大学や企業などで Google Apps™ の導入事例が報告されるようになり、同年の秋にシステム部門で試験的に使い始めました。当然、従来のメールシステムとは操作や画面は異なりますが大きな支障はなく、むしろ将来の可能性なども含めると Google™ の方が使えるのではないかと。それで、2年ほど継続利用し、全社導入に至っています。もちろん、操作に対する慣れは必要だと感じましたが、せいぜい1週間くらいだろうと。

今井  そんなに短期間で。

野々垣 ええ。実際、導入数日は機能や操作に関する質問が情報システム部門に相次ぎましたが、それも数日間だけ。徐々に減っていき、1週間ほどで落ち着きました。100件あった問い合わせが、ゼロになるような感覚です。

今井  なるほど。それで、コスト削減効果のほどは。

野々垣 オンプレミス型のメールシステムでは5年ごとのサーバーリプレイスや保守費などで、1万数千ユーザーを運用するのに年間約4億円。これが、3分の1以下にまで抑えられそうですね。そして、削減できたコストを使いWEB経営やオンライン販売、グローバル化の推進などこれからのビジネスに投資できるわけです。

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